ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)

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現地報告 ビラーン通信40号より
奨学生近況

■メリアン、教員試験合格!
 3月の卒業後、CMBラムアフス小学校で1年生担当補助教員をしていたメリアンが、公立学校教員試験に合格しました。11月からの後期授業では正規の教員として同じ教壇に立っています。
 まだデイケアセンターがなく就学前教育が行われていないラムアフスでは、1年生の指導は大変です。「じっとしていない子どもたちがメリアンの話しをちゃんと聞いている、新卒とは思えない」とCMBディレクターのヴィック神父は彼女の指導力を絶賛していました。
 公立学校の給与はCMB校の2倍以上と聞いています。
 
HANDS奨学生のうち、教員試験合格第1号の
ドリ(写真右)と第2号となったメリアン。ともにラ
ムアフス小学校で働いています。
 両親を亡くし、小学校を中退した妹がいるメリアンには、家族のために公立学校で働くことを
勧めたいけれど、山の小学校には彼女のようなビラーンの先生が絶対必要です。メリアン先
生、今少し山でがんばってください。

■カルチャーショック(?)でロメル中退
 ハイスクール時代は農場の仕事をしながら学校に通う勤労学生だったロメルは、2004年6月
カレッジ入学とともにHANDS奨学生になり寮に入りました。寮生活のうち炊事当番は大変です
が、あとは掃除・洗濯が終われば勉強だけをしていればいいという生活です。9月訪問時には
バスケットに興じるロメルを見かけたのに、期末休暇が終わった11月中旬に寮に戻らないとい
う報告をCMBから受けました。勉強だけでいいという寮生活に耐えられなかった、がその理由
です。真相は分かりません。
 前期末での中退者は、ハイスクール48名中1名(病気のため)、小学生70名中1名(理由不明)
と最低限にとどまっています。ロメルのケースも、本当にカルチャーショックであったとしたら、
早めにカウンセリングなどの対策がとれなかったかと悔やまれます。新しくCMB副ディレクター
になったビラーン民族初のファーディ神父に期待したいと思います。年齢も近い上、ビラーン語
で何でも相談できるとあって奨学生も喜んでいるようです。

■フェリッサからの手紙を紹介します
 この3月にNDMUの政治学科を卒業します。できれば初志どおり弁護士を目指して法学部に
進学したいのですが支援いただけますか。(中略)私の村ラムクア(注:長い裁判の末、約10年
前にドール大農園の一部を取り戻したため、広大なパイナップル畑の中に島のように浮かんで
います)について嬉しいニュースをお知らせします。4年前に中断した水道工事が、バランガイ
議会の事業で完成しました。今まで7km先から水を運んだのに、今は5mのところに蛇口があ
ります。これで村の発展が可能になりました。卒業式は3月20日です。参加していただければ
嬉しいです。 



アトゥモロック近況報告

 12月の滞在では、ゆっくりと確実に発展するアトゥモロックを感じることができました。私たちは週1回土曜日の識字教室に参加後、母親クラブのプロジェクトで配布した豚の様子を見せていただきました。残念ながら3頭が死んだそう
ですが、2頭が妊娠・出産。そのうちの1頭の持ち主だったエレナさんは仔豚を売って馬を購入し、荷物運び用などに貸し出して利益を得ているそうです。また、自宅の一角をサリサリストアにしているので、馬の利益で商品を町から購入。「品数や在庫を増やすことができました」と語るエレナさんの満面の笑顔から、1頭の豚を上手にマネジメントすることが、どれだけの自信につながるのか知ることができました。 
 
ビビナさんのオス豚は4ケ月。成長が楽しみ

  次はミリンダさんの畑です。2haの畑にジャガイモ12畝、ニンジン6畝、カモテ1畝、その他は
トウモロコシを植えています。トウモロコシは時期をずらして植えているので、毎月のように何か
しらの収穫があります。HANDSはジャガイモの苗購入の支援をしました。植えてから2ケ月で収
穫できるジャガイモは、涼しいアトゥモロックの気候に合っているそうです。またミリンダさんの
夫が働き者で、良く土を耕し、柔らかくふわふわして栄養を含んだ土に育てていることが収穫
につながるのでしょう。今回は300kgの収穫を見込んでいるそうです。ゼネラルサントス市の市
場で、1kgあたり25ペソで売れます。輸送費は1kgあたり80センタボです。


ミリンダさんと畑

収穫を待つジャガイモ
 またアトゥモロックには、キブラワン村議会の支援で織物センターが設置されました。ティナラク、マロン、バンダナを織り、赤と紺色の民族衣装のブラウスに伝統柄を刺繍しています。"Gumabal Y Dad Libon"(Libonはビラーン語で女性)と名付けられたこのセンターでは、民族衣装を着用して仕事することが義務付けられています。受注生産のため恒常的に仕事があるかどうかが今後の鍵ですが、その日いた8名は、民族の誇りを持って織物と刺繍に励んでいました。住民が力を付け、村議会と交渉していることを知って、誇らしい気持ちになりました。もちろ  
んこれらのプロジェクトがうまくいき現金収入が増えたとしても、各家庭の子どもたち全員を高
校まで学ばせることは難しい状況です。これからもゆっくりとアトゥモロックを見守ってくださいま
すようお願いします。



5年後の実りと平穏な村に戻る日を待つカンダンの人々
−山岳部先住民族コミュニティにおける森林再生とアグロフォレストリ・モデル事業−

フラミンジャが十分育つまでは等高線状に
刈残したコゴングラスが土留めの役割を果た
します。ピーナッツ、コーン、果樹苗、マホガ
ニー苗などが同じく等高線状に植えられます。

(財)横浜市国際交流協会/YOKE助成
 
 前号で傾斜地農法による各種苗木の植え付けがほぼ完了したとお伝えした事業地域カンダン村の報告です。
 住民組織DACKOの役員の多くは、レイクセブでのセミナーに参加して留守でしたが、PFPスタッフと住民の案内で山腹の畑をめぐり、簡易水道の水源がある谷にも下りてみました。涵養林の育成でこの貴重な水源が枯れないようにしたいと、住民は事業の成功に向けての強い決意を語ってくれました。マンゴー苗の移植作業中の畑があり、11月のアースガーデン(代々木公園)で、苗木カンパに協力してくれた青年たちとの約束の苗木2本の成長を、PFP経由で報告してもらうことにしました。
 武装グループの姿を見かけるなど、このところカンダン村周辺の治安が悪化しています。苗木がすべて無事に育ち、5年後に日本の青年たちを村の収穫作業に招くためにも平和実現が希求されます。


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