ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)

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現地報告
 ビラーン通信59号(2009.10.25発行)より抜粋

都市医療とへき地医療の違い
−現地NGO(CMIP、PIHS)と公立病院の連携から考える−


 8月17〜21日、ゼネラルサントス公立病院(以下、公立病院)において、日本橋形成外科クリニックの森岡大地医師にご協力をいただき、口唇裂ややけど痕の形成外科治療を行いました。対象者は当会のパートナー団体CMIPが活動する地域のビラーン民族、同じくPIHSが活動する地域の住民、そしてゼネラルサントス市のソーシャルワーカー(社会福祉士)の呼びかけに集まった市内の患者です。


手術着を着たセドリック君(110ヶ月)と祖母のセナイダさん(50才)。母はセドリック君を出産後、家出したため、父方の祖母であるセナイダさんが面倒をみている。父は大卒だが仕事が見つからず、トライシクルの運転手をしながら求職中。手術は成功したが、 2週間後の抜糸時に大泣きしてしまい、術後の写真は撮れなかった。
  結果、1才10ヶ月から14才までの12名に口唇裂手術(11名)と上皮母班(皮膚の腫瘍、1名)手術を行うことができました。ゼネラルサントス市内には総合病院、個人病院ともいくつかありますが、形成外科医は1人しかおらず、また費用も高いため、このような機会を待ち望んでいたそうです。

口唇裂は命にかかわる病気ではありません。そのためどうしても治療が後回しになりがちです。しかし当事者である学齢期の患児や父母に伺ったところ、学校でからかわれて行くことをやめてしまったり、そもそも学校に通ってなかったりするそうです。「1人でも多くの子どもに教育の機会を」と願う当会はこの話を聞いて、今回の治療は先住民族の子どもだけでなく、都市在住の子どもも対象としたことは間違っていなかったことを知りました。
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卒業生の進路 ジミー君の場合

 2008年10月にミンダナオ国立大学を卒業したジミー君。専攻はコンピューターエンジニアリングでした。卒業後はCMIP事務所でボランティアをしていましたが、6月の新学期開始からアトモロック小学校ダタルルタイ分校(1〜4年生のみ、全校生徒52名、2教室)にて補助教員をしています。
 州道から脇道に入り、険しい山道を登り続けること2時間、20戸ほどのダタルルタイ村にたどり着きます。児童は歩いて1時間以上かかるマクラック村、マグボック村、20分ほどのダタルバゴ村からも通っています。住民はほとんどがビラーン民族。ジミー君、いやジミー先生はいまこの分校で自分と同じ民族の子弟に教えることにすっかり夢中になっていました。
 
 
新しい教科書が届いた!
さっそく活用するジミー先生
「私たちの」教科書が届きました  WE21ジャパン・さいわい助成)

分校には教科書が先生用の1冊しかありませんでした。訪問の目的は新しい教科書(3名に1冊充当)を届けることと、この村で初めての巡回診療を行うことです。フィリピノ語、英語、数学の教科書を手にするとジミー先生は即興で問題を次々と出していきます。最初は英語で出題し、生徒たちが理解していないかなと気づくとフィリピノ語とビラーン語で補足していきます。

 「古い教科書は難し過ぎたり、内容が古く理解しづらかったです。また僕自身も教職課程ではなかったので、指導する技術がそれほどありません。大学のサマークラスで学び直したい。」と語るジミー先生は、実はその抜群の英語能力でセブ市のコールセンターに就職が決まっていました。それを断ってでも、村に残りたい、仲間の役に立ちたいという学生を応援できたことは当会にとっても喜びです。

定期教育支援現況

◆ブラクール校支援(会員21名が支えています)

今年度は毎月3万円で教師5人の給与補填をするとともに、特に貧しい子どもの授業料・教材費を支えています。PFPから届いた報告では、昨年度の対象者13名のうち2名がマラリアで休学、1名は家の手伝いで退学したため、現在は11名に奨学金を支給しています。あしなが奨学金(6名で以下4名を支えています)

 ジョセフ(レイクセブ町SCMSIカレッジ地域開発学部2年)
  ルナ(同3年)
  クリスチーナ(ニノイアキノ・カレッジ初等教育科2年)
  カトリーナ(同2年)

 ◆CMIP担当の小学校・ハイスクール・カレッジ奨学金支援

カレッジ生14名は全員無事に前期末を迎えましたが、ハイスクール奨学生は生活苦による転居や結婚などにより3名が中退、35名に減りました。小学生は42名です。うち支援援者が決まっていない子どもが写真のキンバリちゃん(3年生)含めて5名います。月額500円の小学生奨学金支援にご協力お願いします。

 
 



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